至適鎮静深度と患者満足度に関する分析
歯科における局所麻酔下での治療・手術の際、患者さんの快適性を向上させるために静脈内鎮静法が適用されることが多くなってきました。歯科領域では治療や手術の対象領域が気道の入口と同一部位という特性があるため、歯科治療に静脈内鎮静法を併用する場合、患者さんの恐怖心や不安感を十分に除去しながらも自主的かつ持続的に気道確保が可能であり術者の指示に対しても適切に反応できる程度には意識を保たなければならず、許容範囲の非常に狭い鎮静レベルが求められます。
こういった背景から、作用時間は比較的長いが健忘効果の期待できるミダゾラムと作用時間は短いが鎮静レベルを調節しやすいプロポフォールの併用が日々の臨床で行われています。しかし、薬剤の使い方は麻酔担当医によって様々で、バイタルサインや他覚的症状を参考に鎮静レベルの評価を行い、臨床経験を基に投与量を決定しているのが現状です。
本研究では、ミダゾラムとプロポフォールの使用量と健忘効果も含めた患者さんの満足度および治療をする術者の満足度を調べることにより、歯科領域における静脈内鎮静法の方法論を確立することを目的としています。また、両薬剤の投与量と患者の呼吸抑制、歯科治療の手技的難易度との関係についても解析を行うことによって、より安全で快適な静脈内鎮静法の方法を検討しています。